赤ちゃんにテレビが与える影響は?実は悪い影響ばかりじゃなかった!

テレビは、赤ちゃんの発達や心の成長に様々な影響を及ぼすと言われています。
かといって、テレビを全くつけない・見せないでは、息がつまるし育児もしにくいですよね。
テレビを見ることによって起こりうる悪い影響と良い影響を理解して、上手にテレビを活用して育児ができるといいですね。
そこで今回は、テレビが赤ちゃんに与える影響と、テレビを見せるときの注意点をまとめました。
テレビへの考え方の参考にしていただけると幸いです。
▼目次
テレビが赤ちゃんに与える悪い影響5つ
1.言語発達の遅れ
テレビを見るといろいろな言葉が飛び交っているので言語発達に良いと考える人がいます。
しかしその見せ方には条件があります。
言葉は人と人とのやりとりの中で発達していくものであって、テレビからの一方的な言葉では言語能力は発達しにくいのです。
2.言語理解能力の遅れ
言語発達の遅れと同じく、言語の理解能力も、コミュニケーションの中で取得するものです。
泣いていたら「どうしたの?」と問いかけたり、ご飯を食べたら「美味しいね」と話しかけたり、笑ったら一緒に「楽しいね」「嬉しいね」「できたね」と笑いかけたり・・・。
そうやって、人とのコミュニケーションの中で覚えていくものなのです。
赤ちゃんの反応に応えないテレビをただ見ているだけでは、言語理解能力が育っていかなくなってしまいます。
3.社会性の遅れ
「社会性」とは、集団生活を送るうえで必要な対人への理解や対応、自己形成など、社会に通用する性質のことです。
社会性と言語理解能力の発達は比例すると言われていて、テレビの長時間視聴によってこの社会性の遅れが指摘されています。
4.運動能力の遅れ
赤ちゃんは自分の首を支えることができない状態で産まれてきます。
その後、数か月もすれば首がすわり、お座りができるようになり、ハイハイができるようになり、そして立ち上がり、歩きだすといった成長をとげます。
こういった成長は体を使った遊びの中から得ていく運動能力ですが、テレビの長時間試聴によってこういった運動能力の遅れが出ることがあります。
5.視力低下
赤ちゃんの目は未発達で、6才までにほぼすべての子供が1.0程度まで発達するとされています。
けれど、視力は未発達でも、赤ちゃんは動くものを目で追います。
内容がわからなくても、テレビの中でめまぐるしく動く光などに反応し、じっとテレビを見つめたり、近づいたりすることによって目を疲れさせてしまうことがあるのです。
テレビの視聴が視力にどう影響するかはまだはっきりとわかっていませんが、赤ちゃんや子供にとってテレビは刺激的なもので、光の刺激や疲れには注意してあげる必要があります。
テレビが赤ちゃんに与える良い影響
1960年代、社会格差が激しかったアメリカで皆が平等に教育を受けられるようにと作られたテレビ教育番組「セサミストリート」で教育検証が行われました。
その結果、試聴前と視聴後を比べると、視聴後の方が明らかに知能が高くなっているという結果が出たのです。
つまり、テレビは選ぶ番組や見せ方次第で、脳の発達に良い影響を与えることができるというわけです。
このセサミストリートのテレビ教育検証結果をうけて、日本でも幼児教育番組が開発され放送されるようになりました。
赤ちゃんに悪い影響を与えるテレビの見せ方5つ
1.長時間視聴
乳幼児のテレビの長時間視聴は、言語発達・言語理解・社会性・運動能力の発達が遅れる率が高いということが、「日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会」の調査によってわかっています。
内容や見方によらず、長時間視聴児するだけで言語発達が遅れる危険性が高まるそうです。
テレビやDVDは、時間を決めて見せましょう。
「乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です(日本小児科医会)」
※URLは白十字小児科医院内のページです。
http://www.hakujyuji.com/media-syounikagakkai.htm
日本小児科学会
https://www.jpeds.or.jp/
2.1日中テレビがつけっぱなし
遊んでいる時にバックグラウンドでテレビがついているだけでも子供の気が散ってしまうと言われています。
大人でも、テレビがついている部屋で家事をしている時に、音の変化や気になるワードが聴こえてきて、ついテレビに目を奪われることってありますよね。
赤ちゃんも、テレビを付けっぱなした部屋で1日を過ごしていると、直接テレビを見ていないように見えても、テレビから流れる音と光の刺激を受けて、記憶力や集中力の低下を招く恐れがあるのです。
また、不要なときはテレビを消して、昼と夜の生活音の変化を感じさせることも大事です。
昼と夜、それぞれの音や音の伝わり方を肌で感じさせることによって、生活リズムが整いやすくなってきます。
テレビがないと寂しいと思ってしまう人は特に注意が必要です。
赤ちゃんと二人きりの時間、「音がないと寂しい」「常に話しかけていないといけない気がする」「楽をしたい」などの理由で1日中テレビの音でごまかしていると、一方通行の音に慣れてコミュニケーション能力が育たず、情緒発達や言語発達の遅れに繋がります。
3.食事中(授乳中・離乳食中)にテレビを見せる
ある程度成長して、親子のコミュニケーションツールとして活用するなら無理にやめる必要はありません。
親が楽しむため、なんとなく付けているだけ、間を持たせるため、といった理由でテレビをつけることはやめましょう。
4.子守りがわりにテレビを見せる
テレビを見せている時に親がどう関わっているかによって、発達への影響が変わってきます。
一人でテレビを長時間視聴する子供や、親と一緒にテレビを見ていても視聴時に親子の関わりが少ない子供は、テレビを見ながら親と一緒に歌ったり会話したりしてしっかりとコミュニケーションをとっている子供と比べて、発達が遅れる率が高くなります。
子守りがわりにテレビを見せるのはやめましょう。
5.テレビを見る角度がいつも横向き
いつも首をねじる体勢でテレビを見せていませんか?
首をねじる体勢ばかりだと、次のような悪影響を及ぼす恐れがあります。
- 首回りの筋肉のバランスが崩れて首こりや頭痛の原因になる。
- 物を見るときに首を傾ける癖がつく。
- 食事中、いつも横向きでテレビを見せていると、噛む力が偏りバランスが悪くなるため、噛み合わせに影響が出る。
できれば正面から見せたいところですが、家具の配置の関係で正面に座れないときは、定期的に座る場所を変えて毎日同じ角度から見続けないようにしましょう。
赤ちゃんにテレビを見せて良いのはいつから?何時間なら大丈夫?
小児科学会は2歳以降を推奨
小児科学会では、テレビは2歳までは極力見せないようにと推奨しています。
4時間以上で発達の遅れ率が高い
日本小児科学会は、2004年に「乳幼児のテレビ・ビデオ視聴は危険です」というタイトルの緊急提言を行いました。
その中の解説によると、テレビ視聴が1日4時間以上(長時間視聴児)の子供は、4時間未満の子供と比べ、有意語(意味のある言葉)出現の遅れが高率(1.3倍)だったと述べています。
さらに、子どもの近くでテレビが8時間以上ついている家庭においては、4時間未満の子供と比べ、1日4時間以上視聴する子供の有意語出現の遅れは2倍との調査結果が出たそうです。
2歳を過ぎても、1日のテレビ視聴時間は1~2時間以内におさめましょう。
「乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です(日本小児科医会)」
※URLは白十字小児科医院内のページです。
http://www.hakujyuji.com/media-syounikagakkai.htm
「「子どもとメディア」の問題に対する提言(日本小児科医会)」
http://www.jpa-web.org/information.html
(全文PDF)
http://www.jpa-web.org/dcms_media/other/ktmedia_teigenzenbun.pdf
テレビを見せるときの注意点6つ
1.テレビを見る時間を決める
子供は、テレビに夢中になると何時間でも見てしまうものです。
いつまでもダラダラと見せないよう、時間を決めて見せるようにしましょう。
2.1人で見せっぱなしにしない
家事をしたい少しの間に、1人で見てくれると助かることってありますよね。
だけど、同じ「見る」でも1人で黙って見ている状況と親と楽しく話しながら見るのとでは、テレビのあり方は大分違ってきます。
テレビに夢中になってくれると家事がはかどるし、つい子守り代わりに見せてしまいたくなるかもしれませんが、テレビを見せるときはできる限り親も一緒に見て、歌ったり会話したりするようにしましょう。
3.見たい番組があるときだけ付ける(つけっぱなしにしない)
子供のためだからと言って、見たい番組まで我慢する必要はありません。
特に見たい番組があるわけでもないのにダラダラとテレビをつけっぱなしにするのはやめて、見たい番組を見終わったら消すようにしましょう。
4.授乳中や離乳食は消す
授乳中や離乳食中は、テレビを消す習慣をつけておきたいものです。
授乳中は手持ち無沙汰に感じるかもしれませんが、この時の赤ちゃんへの声かけやスキンシップは、ママとの信頼関係を深め、赤ちゃんの情緒発達や言語発達にも影響を与える大切な時間です。
また、しつけやマナーの面においても、食事中のテレビが悪影響を及ぼす場合があります。
ある程度成長すればテレビによって会話が増えるケースもありますよね。
しかし、幼い頃からテレビを見ながら食事をする習慣がついていると、子供が中学生や高校生になって、親子でゆっくり会話ができる少ない時間にテレビやスマホに夢中になって、「あー」や「うん」の返事ばかり。本当に聞いてるのかしら・・・なんてことも。
小学生の保護者を対象としたベネッセの調査によると、食事中のテレビは、小学生の食事マナーで注意することの第2位だということです。
5.画面から離れ、明るい部屋で正面から見せる
赤ちゃんや子供は視力が未発達のため、どうしてもテレビに近づこうとしてしまいがちです。
目を刺激や疲れから守るために、画面から離れて明るい部屋で見せるようにしましょう。
また、画面を正面から見ることも大切です。
首や体をひねるように横向きの状態で見ていると、噛む力は左右のどちらかに偏り、首の筋肉はバランスが悪くなり、身体に悪影響を及ぼす恐れがあります。
座席の関係で正面から見られないときは、定期的に座る場所を変えて毎日同じ角度から見続けることがないようにすると良いです。
6.見せる番組を厳選する
幼児向け教育番組を視聴することによって、語彙発達を促し、後の好成績を予測することが示された、という結果があります。
この研究によると、一般番組を頻繁に見ている場合は、見ない場合よりも成績が劣ることも明らかになっていることから、テレビの視聴は番組を選んで見せることも重要になります。
3歳児を対象とした日本の調査では、親が子供のテレビ視聴をしっかりと管理することによって、3歳児の「協調性」「共感性」が高いことが示されたという報告もあります。
まとめ
いかがでしたか?
見せ方や見せる番組がどんなに素晴らしくても、テレビの長時間視聴は赤ちゃんの成長に悪影響を及ぼします。
短時間だけ見せる場合も、どうやって見るか、誰と見るか、何を見るか。
テレビを見る状況によって与える影響が変わってきます。
赤ちゃんにとって、テレビはそれほど魅力的なものではありません。
赤ちゃんは、直接手で触れ、口で感触を確かめることによって、脳を刺激し知能を発達させていくため、そばにいる親と一緒に触れあい遊ぶことの方が魅力的で楽しく、健全な成長のためにもメリットが大きいことは明らかです。
テレビを見るルールをしっかり決めて、テレビ視聴のメリットを上手に活かしたいですね。