3歳までの子育ての失敗は取り戻せる!言葉がけで変わる子供の心

3歳までの子育ては一生を左右する大事な時期と言われています。
そのため、子供が成長してさまざまな問題が出てきたとき、
「3歳までの子育てに失敗したかも?」
と悩んでしまうお母さんもいます。
後になって3歳までの子育ての大切さを知って、反省したり悔んだりした人もいるのではないでしょうか。
とはいえ、3歳までで子供の人生が決まってしまうわけではありません。
3歳以降の子育てだって、とても大事なのです。
そこで今回は、3歳までの子育てで失敗した、後悔がある、と思っているママのために、3歳以降の子育ての大事な点を心理学の観点からまとめてみました。
3歳までの子育てが大切な理由
性格の基礎を作る時期
この世に誕生して最初の3年間は、人間の生涯において最も急激な成長を遂げる時期です。
産まれたての赤ちゃんはただ泣くという感情表現しか知りません。
3歳までの間に徐々に笑うようになり、怒るようになり、歩くようになり、話しができるようなるといった目覚ましい成長をします。
この急成長期の子供との関わりや子育ての仕方は、子供の人格形成に深く影響します。
より良い人格形成のためには、
「この世に産まれてよかった」
「自分は愛されている」
という実感が子供にとって必要不可欠だからこそ、3歳までの子育てはとても大切なのです。
3歳以降は価値観を作る!
親の言葉と行動が与える影響
3歳を過ぎると幼稚園や保育園へ通いだし、友達とも上手に遊べるようになり、徐々に社会性が身についていきます。
しかし、子供の脳はまだまだスポンジのような状態です。
良いことも悪いこともどんどん吸収していきます。
周囲の大人や友達や先生から得ることは沢山ありますが、特に親の行動や言葉が子供に与える影響は大きく、生きる指針となり、これからの価値観を作り上げていくお手本になっていきます。
この時期に親から言われた言葉は、生涯にわたり子供にとって一種の暗示のようなものになるといえます。
子供にどういう人間になってほしいかイメージする
親が「子供にどういう人間に育ってほしいか」という期待を持つことを、心理学用語では発達期待といいます。この発達期待は国によって異なります。
日本の母親は、
- 思いやりがあり優しいこと
- 元気で明るい
- 正直であること
- 友達と仲良くできること
- 礼儀正しいこと
- 誠実であること
といった期待を持っている人が多くいます。
一方、アメリカの母親は、
- リーダーシップがとれること
- 自分の考えやしたいことを通すことができる
- 納得がいかない場合は説明を求める
- 自分の考えをきちんと主張できる
といった期待を持っている人が多く、日本とアメリカの親の考え方の違いは明らかです。
この母親の「思い」「期待」が日本やアメリカの文化や国民性の違いに反映されるように、家庭によっても子供への発達期待次第で性格の方向性がかわってくるということが言えます。
なので、子供にどういう人間になってほしいかをイメージすることは、子育てをするうえでとても大切なことです。
よく言ってしまいがちな失言
急いでいる時やイライラしている時、つい言ってしまう言葉ってありますよね。
「何かしてあげようとしたのに拒否された時」「してほしいのにしてくれない」「ご飯を食べてくれない」など子供が思い通りに動いてくれない時につい感情的になってしまい発してしまう言葉の中には子供の成長を妨げてしまう失言も多くあります。
似たような言葉でも、少しだけ言い換えて言ってみると子供のとらえ方も違ってくるはずです。
「○○した?」「○○持った?」
「水筒持った?」「寒いから上着きたら?」「手洗った?」などと子供が自らやろうとしていても大人が先回りした質問をすることによって子供が自ら考える力がついていきません。
「忘れ物ない?」「今日は外寒いよ。」「手汚れてるんじゃない?」など状況を説明して自分で考えられるような言葉かけをしてあげて下さい。
こうした言葉かけひとつで自ら考え行動する能力がついていきます。
「○○しなさい!」
「片づけなさい!」「歯を磨きなさい!」など、ガミガミと命令口調になりがちな時ってありますよね。
子供はガミガミ言われ続けると「言われたことをする=良いこと」だと思ってしまい、自ら考え行動する能力が育ちません。
「しなさい!」と言いたくなっても「いつ片づけるの?」「いつ歯を磨く?」という風に子供に考える余地を与えることが大切です。
思春期を迎えると、人は様々な葛藤の中で自分自身の存在価値やよりどころを求め、色々考えます。
しかし、考える力が育っていないと、自分がなにをやりたいのか、何のために生きているのかわからず心のバランスが保てなくなってしまいます。
「急いで!」「早くして!」
靴をなかなか履かない、歩こうとしない時など、ついつい言ってしまう言葉ではありませんか?
子供のペースに合わせると時間がいくらあっても足りません。
しかし、大人のペースに合わせて子供を急かすのではなく、時間に余裕をもって、できるだけ子供に合わせてあげましょう。
だけど、急かさずにはいられない状況もありますよね。
そういう時はどうして急いでいるかの理由を子供に分かるように説明してあげましょう。
「あと30分でバスがきちゃうから早く家でなきゃいけないの」と言えば、何もわからず「急いで」といわれるより子供だって急ごうという気持ちになれるはずです。
「もう知らない!」
問題行動を何度注意してもやめてくれない時につい出てしまいそうな言葉です。
だけど、「知らない」と言われても子供は何が何だかわかりません。
「もう知らない!」と突き放すのではなく、きちんと理由を説明しながら注意を繰り返しましょう。
何度も繰り返し注意しているうちに、きちんと心に届くはずです。
「本当にダメなんだから!」
「あなたは優しい子」「あなたは強い子」と人に言われると、自分は優しいんだ!自分は強いのか!と思い込んでいくことが知られています。
それと同じで、ダメだと否定されれば、自分はダメなんだ、できない子なんだと思い込んでしまいます。
言葉は暗示となり、どんどん子供に吸収されていくことを忘れないようにしましょう。
「なんでこんなこともできないの?」
「他の子供はできるのに、うちの子供はどうしてできないのだろう?」
といった気持ちから、こんな言葉を投げかけたことありませんか?
こんな言葉を投げかけられても何も解決しません。
嫌な気持ちになるだけで、どうしてできないかなんて分かりません。
分からないからできないのです。
大人だって同じですよね?
ネガティブな言葉は自尊心を傷つけ、自己肯定力を下げるだけになってしまいます。
なぜできないかを聞くのではなく、どうすればできるようになるかを一緒に考えてあげましょう。
「○○したら●●してあげる!」「○○しないと●●するよ!」
してほしいことややめてほしいことがある時、罰やご褒美で釣るような方法はとても手っ取り早いですよね。
だけど、罰やご褒美を与える方法は、その場だけの効果しかなく継続性がありません。
子供はご褒美や罰を与えるよりも、親からほめられたり励まされたりする方が、内面から自らやる気になれるのです。
親からの「がんばってるね」などといった言葉は、子供の心を動かす最大のご褒美であり、継続性が期待できます。
「いつも○○なんだから!これで何回目?」
何回も何回も同じ失敗を繰り返し、そのたびに注意をしているとつい言ってしまいますよね。
だけど子供に過去の失敗を数えさせる行為に良いことはありません。
逆に自尊心を傷つけてしまいます。
決して過去の失敗は持ち出さずに、今、目の前の問題だけを解決させるよう言葉がけましょう。
「すぐ泣かない!」「泣いてもしょうがないでしょ!」
泣かれてしまうと、泣き止んで欲しいという思いから泣くことを否定してしまうことはありませんか?
泣くことは感情表現のひとつです。
例えば、映画をみて感動して涙がとまらない時。身近な人の不幸で泣かずにはいられない時。
大人でも涙を抑えられないことってありますよね。
何かしらの感情が動いて涙があふれているので、そのことを否定することは自分を否定されてることになります。
理由は様々ですが、涙を流すことで心はバランスがとれるものです。
泣くことを否定せず、泣き止むのを待って冷静に話をするほうが得策といえます。
「今忙しいから後でね」
怒るわけでもなく、忙しいという理由からつい言ってしまう「後でね」なので、失言とまではいきませんが、もう少し具体的に言ってあげると子供の心の持ち方が変わってきます。
例えば、
「ご飯を作り終わったら一緒に絵本読もうね」
「赤ちゃんが寝たら2人だけでジュース飲もうね」
のように、言葉がけひとつで子供の愛されている感は上昇します。
絶対口にしてはいけない言葉
- 「大嫌い」
- 「あっちいって」
- 「こっちこないで」
- 「あなたなんかいらない」
- 「産まなきゃよかった」
こういった言葉は子供を拒絶する言葉であり、自己肯定感が下がるだけではありません。
心に消えない傷となって、大人になってからも残り続ける言葉です。
絶対言うべきではない言葉ですが、思わず言ってしまった場合はすぐに心から謝りましょう。
ほめ言葉は心が育まれる
ほめ言葉は人の心を豊かにします。
特に子供は、ほめられるとほめられたことを繰り返しやる傾向があります。
やる気もみなぎり自信も付けて生きていくことができます。
ほめられて育った子供は自己肯定力が強くなり、自ら考え生きぬく力が育ちます。
子供の成長において親のほめ言葉は魔法の言葉です。
反対に、ほめられる機会がなく育った子供は、自分に自信がなく大人になった時に大きな反抗期を迎えてしまうことがあります。
悪いことをした時はきちんと叱ることも大切ですが、それ以上にほめることも大切なのです。
ほめ方のコツと具体例
少しでも良い行動をしたら、その行動を言葉にするだけでほめ言葉になります。
ほめられたことはまたやりたくなり、自然に身についていきます。
にこにこの笑顔でほめられると子供はとても嬉しいです。
「自分で○○できたね」
言われなくても着替えることができたり、手を洗えたり、日常のちょっとしたことを自分でできたんだね。さすがだね。などとほめてあげると、自ら行う習慣がつき、ちゃんと見てくれているんだと自信につながっていきます。
「がんばって」より「がんばったね」
「がんばって」と応援することも子供の力になりますが、それよりも、行った行為に対して「がんばったね」と評価をすることで、次はもっと頑張ろうと思う気持ちにつながります。
「よくがまんできたね」
おやつの時間まで目の前にあるおやつを我慢できたり、転んでも泣かずに立ち上がった時などに「よくがまんできたね」と声をかけてあげたり、内面的な「がまん」という努力を評価される言葉をかけられると、子供にとって我慢することへの励みになります。
「良いことできたね」
妹や弟におもちゃを譲ってあげることができた時などに
「〇〇ちゃん喜んでるね。よく気が付いて譲ってあげられたね。良いことできたね。」
と声をかけていると、自分の行動で喜ぶ人がいるということを実感でき、おもちゃを譲ってあげることが自然に身についていきます。
「食べられたね」
苦手な食べ物を一口でも食べられた時に「食べられたね」と親が嬉しそうにほめてあげると、「次も一口は食べようかな」と、頑張って食べられるようになります。
他者と比較する褒め方はNG
「○○よりもすごい!」
「○○よりできるね!」
というように、兄妹や友達と比較して褒めることはよくありません。
人との比較癖がついてしまいます。
子供は競争が好きですが、ほめる時に他者と比較するのはやめましょう。
最大の褒め言葉は「大好き」
「宝物だよ」「大好き」「産まれてきてくれてありがとう」
のように、子供の存在自体をほめる最上級の言葉を投げかけられると子供は幸せを感じずにはいられません。
まとめ
いかがでしたか?
3歳までの子育てはもちろん大切ですが、そこで人生の全てが決まるわけではありません。
3歳を過ぎてしまっていても、それまでの後悔や反省を取り戻すためにできることはたくさんあるのです。
親だって人間ですので、感情的になってしまうことだってあります。
だけど、親の言葉は子供にとって、とても大きな意味を持ちます。
感情的になりそうな時は一呼吸つき、少し考えて言葉を選んで子供に声をかけてみましょう。